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映画・映像を通して被爆体験の継承を目的とした映画祭の紹介


by 被爆者の声をうけつぐ映画祭実行委員会

被爆者の声をうけつぐ映画祭の開催について

 被爆者の声をうけつぐ映画祭は、2007年の6月に始まりますが、その開催経過と映画祭の目的や役割について、映画監督でもある有原誠治氏が、同年5月のプレイベントで詳細に語っていますのでご紹介します。図は、映画祭実行委員会が2008年2月に発行した「被爆者の声をうけつぐ映画祭のすすめ」(絶版)の表紙と「開催について」有原氏が語っている頁です。
被爆者の声をうけつぐ映画祭の開催について_f0160671_14351080.jpg被爆者の声をうけつぐ映画祭の開催について_f0160671_18010737.jpg 
                            
 2006年の6月に、日本反核法律家協会会長の池田眞規弁護士より、私の元に電話がありました。「2006年の10月に日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)が50周年を迎えるので記念イベントを準備しているが、原爆被爆を描いた日本映画をまとめて見てみたいと声が上がっているので、相談に乗ってもらえないか」とのことでした。
 これは大変なことだと思った私は、記録映画作家協会事務局長の野田耕造氏、翼プロダクション代表の山口逸郎氏、映画評論家の山田和夫氏、石子順氏、共同映画社代表の藤野戸護氏、独立映画センター代表の中田好美氏、日本映画復興会議の高橋栄氏の各映画人に呼びかけて、いっしょに池田先生のお話をうかがいました。

●映画の出番
 池田先生のお話は、とても大切なことでした。被爆者たちは62年前の原爆に刻まれた傷跡に苦しみ病魔と闘いながら、核兵器の廃絶を願い、原爆の影響を絶えず過小評価する日本政府を告発し、日本の反核平和の活動の第一線でいまも闘い続けている。その被爆者たちが高齢となって証言活動もままならない時代となったが、被爆の実態や被爆者の思いを伝えるには、映画や映像作品が大きな力となる。全国の原爆症認定(集団)訴訟を支える若い弁護士や、被爆者を支援する若者たちが集って「被爆者の声をうけつぐプロジェクト50」という、新しい運動体が生まれ、その若者たちからこれまで作られた原爆被爆関連映画をまとめて見たいとの声が上がっているので、実現する方法を教えて欲しいとのことでした。
 私たち(映画人)は、この期待に応えたいと思いました。

●日本映画で150本以上
 私たちはとりあえず、日本の映画人がこれまでにどんな作品をつくってきたのか、調べることからはじめました。記録映画、劇映画、アニメーションを対象に調べました。その結果、1946年の記録映画『広島長崎における原子爆弾の効果』(撮影:日本映画社)から、2005年の『NAGASAKI1945アンゼラスの鐘』(監督:有原誠治)まで、150本以上もあることが判明し、調査に当たった私たちはその数の多さに驚きました。
 それは、①原爆被爆に事実と影響を記録する作品、②被爆者やその周辺の人々の苦悩と生き方を描いた作品、③反核、反戦、平和への願いや行動を描いた作品などで、そのほとんどの作品が被爆者の記録や証言や願いにもとづき、途絶えることなくその制作と上映が(今も)続いています。
 この調査活動で、日本の映画人が被爆者に寄り添い、映像に記録し描き伝え続けてきた歩みが再確認できました。

●映画祭の役割
 そして、映画祭の目的と役割が鮮明になりました。被爆の実態と被爆者の声を伝える映画祭であると同時に、原爆被爆関連の作品をつくり続けて来た日本の映画人の歩みをうけつぐ映画祭だということです。
                             (2007年5月11日 有原誠治)

by eigasai2008 | 2018-04-21 18:15 | 映画祭の始まり