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映画・映像を通して被爆体験の継承を目的とした映画祭の紹介


by 被爆者の声をうけつぐ映画祭実行委員会
『ひろしま』劇映画
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1953 年/ 100 分/モノクロ
監督:関川秀雄 脚本:八木保太郎 製作:日本教職員組合

 日教組と、広島市の各団体の協力により制作された作品。長田新が編纂した文集『原爆の子』のエピソードを元に、ときおり記録映像も用いつつ、一本の劇映画として構成されている。被爆直後から数日間の様子を、30 分以上にわたって克明に描いたシーンは圧巻。朝鮮戦争の勃発により日本の再軍備が進み、再度の原爆使用の危機が高まる時代に作られたこともあり、反戦と反核を激しく訴える内容に仕上がっている。
# by eigasai2008 | 2010-08-29 18:52 | 映画祭2010について
『ビーズ・ゲーム』短編アニメーション
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1977 年/カナダ/ 5 分30 秒/カラー 
作家:イシュ・パテル 製作:カナダ国立映画制作庁〔NFB〕

 インド出身のアニメーション作家であるイシュ・パテルが、カナダのNFBで制作した短編アニメーション。音楽に合わせて色とりどりのビーズをアニメートし、地球に生まれた生命たちの進化を描いていく。その過程でついに人類が登場する。人類の歴史は動物たちの捕食関係とは違い、戦争のそれとして描かれる。やがて人類の知性は原子力を発見するが、それは原子爆弾の発明にも繋がるものだった。

『雨はやさしく…』短編アニメーション
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1984 年/旧ソビエト/ 11 分/カラー
監督:N・トゥリャホージャーエフ 原作:R・ブラッドベリ 製作:ウズベクフィルム

 核戦争後、降りしきる雨の中に残ったシェルターの中で、家族の死を知らぬ家政ロボットが無人のイスを相手に活動を続けている。ときおり窓に映る緑の野は、亡き主を癒すはずの映像。寒々としたシェルターの中に、一羽のアマツバメが迷い込んだことから、悲劇はさらに拡大する。R・ブラッドベリの『火星年代記』の中の「やさしくぞ雨は降りしきる」のアニメーション化。

『風が吹くとき When the Wind Blows』長編アニメーション
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1986 年/イギリス/ 81 分/カラー
監督: ジミー・T・ムラカミ 原作・脚本: レイモンド・ブリッグズ
音楽: ロジャー・ウォーターズ 主題歌: デヴィッド・ボウイ 
日本語版監督:大島渚 声の出演:森繁久彌 加藤治子

 音もせず、目にも見えない放射能が知らず知らずに人体を蝕み、やがて死に至らしめる恐怖。その恐怖に対する政府の「誤った処方箋」を頑なに信じて疑わない老夫婦の哀れさ。そして老夫婦の「生兵法」は、現代の日本人に重なる。日々の営みと、核の脅威は常に隣り合っているという現実を我々に突きつける。

『解き放たれた魔法のランプのジニー』ドキュメンタリー
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2005 年/アメリカ/ 16 分/カラー
監督:スティーヴン・ソター、トレース・ゲイナー(完成当時 14 歳)
受賞:2005 年 国際こども映画祭最優秀賞(シカゴ)国際ファミリー映画祭最優秀賞受賞(ロスアンゼルス)など。

 シカゴの中学生二人が、原爆開発のマンハッタン計画に携わった当時の関係者や、魔法のランプのジニー(原爆)にインタビューして、原爆がなぜ、どのように製造されたのか、本当に必要だったのかを聞いた。若者や大人に、原爆の恐ろしさを伝えたいと考えて制作した、独創的で意欲あふれるドキュメンタリー映画。
# by eigasai2008 | 2010-08-29 18:51 | 映画祭2010について
『ヒロシマ・ピョンヤン』ドキュメンタリー
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2009 年/ 90 分/カラー
監督・撮影・ナレーション:伊藤孝司 編集:土屋トカチ、小林アツシ
製作:ヒロシマ・ピョンヤン制作委員会

 帰還事業で広島から北朝鮮に帰りピョンヤンに暮らすリ・ゲソンさん。彼女は幼い頃から病気がちだったが、2004 年、広島から訪ねて来た母親に自分が被爆者であることを初めて告げられ、自分の体を蝕む原因を知る。救済の対象にならず置き去りにされている北朝鮮に住む被爆者の姿を、丹念な取材で浮かび上がらせた力作。
# by eigasai2008 | 2010-08-29 18:43 | 映画祭2010について
『父と暮せば』劇映画
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2004 年/ 99 分/カラー
監督:黒木和雄 原作:井上ひさし 製作:パル企画などの製作委員会

 『TOMORROW/明日』『美しき夏キリシマ』に次いで、黒木和雄監督が戦争の記憶を映画化。広島の原爆により自分の眼の前で父(原田芳雄)を失った娘美津江(宮沢りえ)が、父の幻影とともに生きる。明快な劇作法による広島の悲劇の新しい証明。井上ひさしの同名戯曲が原作。
 今年4月に亡くなられた井上ひさしは、本映画祭の賛同呼びかけ人でもあった。井上さんを偲び、本作品を上映する。
# by eigasai2008 | 2010-08-29 18:37 | 映画祭2010について

映画祭についてのご報告

「被爆者の声をうけつぐ映画祭2009」開催から既に一か月以上が経過しました。
ご来場いただきました方々にはあらためてお礼申し上げますとともに、開催についての成果集約ができてきておりますので、この場を借りてご報告させていただきます。

まずは各回の入場人数です。

プレ企画留学生向け「アンゼラスの鐘」 21名(留学生2)
プログラム1「夕凪の町 桜の国」 138名

プログラム2「広島長崎における原子爆弾の影響 長崎編」 33名
プログラム3「太陽をなくした日」「青葉学園物語」 71名
映画祭記念講演 71名
プログラム4「さくら隊散る」 69名

無料プログラム「ヒロシマ母たちの祈り」「夏服の少女たち」 34名
プログラム5「長崎の子」「二重被爆」 64名
シンポジウム・エンディング 36名
その他 8名

小 計 545名

三日間のスタッフ(一日15名×3) 45名

合 計 590名 

 以上のように、映画祭の参加者数は、スタッフも含めて三日間で590名一日あたり196名で、2007年の166名を上回っていますが、2008年の256名よりは少なく、きびしい結果でした。

 しかしながら、大学生の参加や多様な市民グループへのつながりが増えたこと。映画とセットにした映画製作者と被爆者のお話、講演やシンポジュームなどがさらに充実し、昨年に続き感想アンケートには「ぜひ、継続を」「映画祭の内容をパンフレットに」などの熱い期待が寄せられました。中には「企画は良いけど、参加者が少なくもったいない」など、耳の痛い意見が少なくありません。

 実行委員会の討論の中では、今年の積極面として「映画制作者が新たに実行委員会に参加したこと」、「広島や長崎でない東京でやっていることに意味がある」、「低線量被爆の影響について初めて理解できた」などが上げられました。

 今後の課題としては、「反核平和の諸団体に、映画祭をきちんと位置づけてもらうことが大切」「チケット販売を依頼するだけで配券を点検していない」「宣伝の取り組みをもっと戦略的に計画して」「毎年開催でないから腰が据わっていない」「事務局を集団にする」「若い世代が中心になれる実行委員会に変身を」「秋はむずかしい、継続なら7月開催に」などの意見が出されました。
 なお、継続開催については、次回の決算報告を受けて相談することにしました。

 次回実行委員会の開催は、1月15日(金)夜18:30~ 明治大学研究棟会議室にて行います。参加者は、明治大学リバティホール前ロビーに18:10~18:25までにご集合ください。どうぞよろしくお願い致します。
# by eigasai2008 | 2009-12-24 00:00 | 映画祭2009について